2014年06月22日

無題(拍手のお返事)

突発吸血鬼話への反応に、ひゃあ!でございます;
お題を見て、パラレルだったらなんとかなるかなぁと、時代も背景も考えず、とりあえず書いてみただけだったので、マジに、皆さんの反応に驚いてます。
ちなみに「ギイ」の名前のお題は、「しましま模様のシャツで、照れているギイ」で、これと言って浮かびませんでした。
続きを、シリーズ化を、と、お声をかけていただいたのは嬉しいのですが、これ以上自分の首を絞めたくはないので、少しだけ続きらしきものを書いて、終わりにしたいと思います。
拍手のお返事は、そのあとに。
ありがとうございました。



【昨日の続き】

「怖くないの?」
「なにが?」
「ぼく、吸血鬼なんだけど」
「なにを今更」
 PCのディスプレイから目を離さず、ギイが鼻で笑う。
 今まで襲った人間たちは、誰もがぼくを恐れた。仲間にするつもりはないから記憶は消してあるけれど、もう一度会っても同じように悲鳴を上げるだろう。
 それなのにギイは、恐れるどころか、ぼくがここを出ていこうとするたびに邪魔をした。
「棺桶で寝るより、ベッドの上の方が体が休めるだろ?」
「だから、そんないかにもな場所で寝るわけないだろ?偏見もいいところだ」
「それは失礼」
 笑いながら、しかしあれやこれやと引き止める理由を作り、しかも毎晩、えーっと、その、人間で言うところの「襲う」行為でぼくを疲れさせ、結局のところ、ぼくは自分の住処に帰ることなく、あれからずっとここにいる。
 変なヤツ。
 ギイの広い背中を見ながら、深い深い溜息が零れ出た。
 どうして、こんな森の奥の屋敷に一人でいるのか知らないけれど、必要なものは届けさせているし、生活に支障はないようだ。時折、こうやってPCを触ったり電話をする以外、ギイはぼくの側から離れない。
「遠慮せずに、吸ったらいいじゃないか」
「………は?」
 くるりと椅子を回して、まっすぐにギイがぼくを見た。
「オレの血が欲しくて、ここに来たんだろ?」
「そ……う……だけ………ど…………」
 美味しそうな匂いがしたから、ここに来たけれど………。
「託生、おいで」
 呼ばれて、ゆっくりとギイに近づいた。とたん腕を取られ膝の上に座らせられる。
 鼻先に芳香な匂いが漂い、くらりと眩暈を感じた。吸血鬼の本能が、頭をもたげてくる。
「ここだろ?噛めよ」
 ギイが、自分の首を指差して、ぼくを促した。
 この白い皮膚の下に流れている赤い鮮血。近づいただけで、これだけ美味しそうな匂いがするのだから、さぞかし甘くて極上の味がするのだろう。
「ほら、託生………」
 抱きしめるようにギイがぼくの頭を、自分の首に押し付ける。
 しかし、ギイの肌に口唇が触れたとたん、目が覚めるようにハッとして口唇を離した。
「託生?」
「………できない」
 なぜだかわからないけれど、ギイの肌に傷をつけたくない。この綺麗な肌に、消えることのない傷跡を残したくない。
「オレの血を吸って、お前の血をオレに流し込めば、オレはお前の仲間になれるんだろ?」
「え?」
 仲間………?
「託生と、ずっと一緒に生きていける」
「………嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だっ!!」
「どうして?!」
「ギイには、普通の人間でいてほしい」
 限りある命の中で、生きていってほしい。ギイをこんな化け物の仲間にしちゃいけない。
「オレは、お前と一緒に生きていきたい」
「ダメだよ。こっちに来ちゃダメだよ、ギイ」
「託生とずっといれるなら、オレは永遠の命が欲しい」
「ギイ………」
 どれだけ魅力的な言葉なんだろう。
 死を知らず、彷徨い続けるには一人は寂しくて、でも、一緒にギイがいてくれるなら、そんな永遠の時間を過ごすのもいいかなと思うけど、
「………無理だよ。ぼくには、できない」
 この人には、太陽の下で生きてほしい。
「なぁ、託生」
「うん?」
「オレは、お前を愛してるんだ」
「え………?」
「愛してるって、わかるか?」
「………ごめん。よく、わからない」
 ぼくが人間でいたのは、遥か昔のことなんだ。仲間にした兄さんも、もう消えた。
 人間の感情がどういうものか、ぼくは、もうとっくに忘れている。
「オレは、託生とずっと一緒にいたい。寂しい思いなんてさせたくない。なにより、これから先、オレの知らない時間を、託生に過ごしてほしくない」
「ギイ………」
 真剣な瞳に、ギイの本気が伝わってくる。
 愛しそうにぼくの頬に大きな手を滑らせ、口唇が重なる。忍び込んだギイの舌が、とがった二つの牙を、くすぐるように撫でた。
 どうして、ここに来てしまったんだろう。雨の匂いに消されることなく、ぼくを導いたギイの香りが、あのときよりも濃厚にぼくを包み込んでいく。
 明日、ギイの記憶を消して、出ていこう。
 ギイの体を受け止め、ぐにゃりと輪郭をなくしたぼくの中に、たったひとつ浮かんだ真実だった。



《拍手のお返事》
>エスエヌさま
訂正しました。ありがとうございまーす♪
世界観もなにも、そんな難しいこと考えておりません;
単純に、お題を見て浮かんだのを書いただけなんです~。
それこそ吸血鬼って、永遠に生きているから終わりがない。終わりがあるとすれば、杭で心臓を打たれるバッドエンドのような気がするので、やっぱりシリーズ化は無理そうです。
小話は、あるかもしれませんが、今のところはわからないです;はい;
拍手、ありがとうございました♪

>海さま
なぜか、皆さん、託生くんが吸血鬼というところに食いつかれてますね(笑)
おおや先生が、ギイが吸血鬼のシチュでイラストを描かれているので、その印象が強いのでしょうか。
でも、託生くんだと、ドジっ子にしか見えませんけどね;
腕力ないし、実際、捕まっちゃってるし、襲われちゃってるし。
続きはこういう感じで。
拍手、ありがとうございました。
ラベル:BL
posted by りか at 06:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月21日

無題

黒いコートを着た状態で耳を攻められている託生を妄想してみよう。 http://shindanmaker.com/124702



 ポツリポツリと頬に落ちた雨粒が、どしゃぶりに変化するのは一瞬だった。
 すぐ側にあった大きな木の下に避難し、分厚い雲に覆われた空を恨みがましく見上げる。
「お腹は空いてるし、雨は降ってくるし、サイアク」
 久しぶりに目覚め、外に出たとたん、これだ。こんな天気の中、出歩く人間がいないだろうことは安心だけど。
 雨が視界を塞ぎ、光がまったくない暗闇に包まれている森。しかし、夜しか出歩けないぼくの目には隅々まで見えている。
 視界の端に、古びた建物が見えた。
「………美味しそうな匂いがする」
 それも、極上の。
 ぼくの喉がゴクリと鳴る。
 どれくらいぶりだろう、こんなにうっとりするような獲物は。
「どこの誰だか知らないけれど、これを見逃す手はないよね」
 誰ともなしに呟いて、足取り軽く建物に近づいた。


 窓からそっと中を覗くと、ベッドに横たわっている人間が見える。でも、その大きさから想像するに「男?」
 てっきり瑞々しい新鮮な女だと思っていたのに。
 でも、今まで経験したことがない美味しそうな芳香に、迷うことなく窓を開けた。
 聞こえてくる寝息が深い。仮に起きても、眠らせればいいけれど。
 枕元に寄り、男の顔を覗き込んだ。
 今まで見たこともないくらい綺麗な男だな。端正な顔立ちは作り物のようにも見える。そっと喉元に顔を寄せると、くらくらするような濃厚な香りが一層際立った。
 お仲間にはしないから、安心してね。2、3日、起き上がれなくなるかもしれないけれど。
 ではでは、美味しくいただきま………す?
「へぇ。今時の吸血鬼って、男が男を襲うんだな」
「……っ」
 視界がぐるりと回り、気づけばベッドに押さえつけられ、今まで寝ていたはずの男が、ぼくを真上から面白そうに見下ろしていた。
 なんで?人間にぼくの気配がわかるはずないのに!
 闇の中で浮かび上がる男の上半身は、無駄のない筋肉に覆われていた。
 彫刻のように整った肢体をして一見人形のようにも見えるけれど、興味津々に見詰める目とぼくを抑え込む体温が、血の通った人間なんだと再認識させられる。
「黒いマントじゃないのか」
「そんな、いかにもな恰好なわけないだろ」
 呆れながら答えると「それもそうか」とあっさり納得し、なぜか枕元のスタンドのスイッチを入れた。
 あ、髪も瞳も薄茶色なんだ。この男に、よく似合ってる。
 ぼんやり見ていると、なぜだか心臓がドキドキしてきた。
 この男の視線の先にぼくがいることが、嬉しいような、嬉しくないような。
 というか、この状況、ヤバくないか?このまま心臓に杭を打たれたら、ぼくは消えてしまう。そして、ぼくは、今ものすごくお腹が空いてるんだ。
 仕方ないなぁ。強制的に眠らせて………。
「ふぅん。今、目が赤く光ったけど、何をした?」
「………うそ」
 普通の人間なら一瞬で寝るはずなのに。ぼくと同じ側……いや、やっぱり人間の匂いが……ちょっと待てよ。効かないってことは、この状況から逃げられないってことじゃないか?
 たらりとこめかみを冷汗が流れるような気がした。
 自慢じゃないけど、腕力に全然自信はない。押さえつけている男の腕はビクとも動きそうにもない。
 どうしよう。なにか動かせるものないか?棍棒でもバットでも、この男の頭を殴れるよう………うん?
「んーっ!んーんーっ!」
 視界が男の顔でいっぱいになったと思ったら、口唇を塞がれて硬直した。
 もしかして、これは、人間の世界で言うキス?!
「な、なにすんだよ?!」
「あ、もしかして初めてだった?ラッキー」
 なにが、ラッキーだ?!突然すぎて噛みつけなかったのが、とんでもなく悔しい!
 ……流れ込んできた唾液が甘くて美味しくて、夢中になりかけたのに自己嫌悪。
「オレを襲うつもりだったんだろ?こうやって……」
「ひゃっ!」
 耳!耳、舐められた!
「ちがっちがうちがうっ!」
「じゃあ、こうか?」
「んっ」
 耳を甘噛みした口唇を首にずらし、かりりと歯を立てる。
 そうだけど、噛みつくつもりだったけど、
「ちょっと、待って!」
「なんだよ?」
 不服そうに顔を上げた男に、ぷるぷると首を横に振った。
「なにか違う」
「なにが?」
「なにがって、なにもかも!」
 本当なら、今頃この男の首に齧りついて、新鮮な生き血を飲んでいるはずなのに、なんでぼくが齧られなきゃいけないんだ?
「オレを襲うつもりだったんだろ?」
「そうだけど………」
「なら、オレがお前を襲ったって同じじゃないか」
「はぁ?」
 ぼくが男を襲う=男がぼくを襲う。同じ………だったっけ?
「君がぼくを襲うって、あれ?」
「君じゃない、ギイだ」
「ギイ?」
「そう」
「って、だから!」
 なんでボタンを外されてるんだ?いったい、ギイは、なにをしようとしてるんだ?
 ジタバタと暴れるぼくを物ともせずに、ポイポイと服をベッドの下に投げ捨て、
「名前は?」
 ギイが、ぼくに聞く。
「な、なに?」
「お前の名前」
「た……託生……」
「託生、託生か」
「や……ギイっ…………う……んっ!」
 どこ、触ってるんだよぉ?!
 絶対、なにかが違うってば~~~~!


 吸血鬼の言うところの「襲う」と人間の言うところの「襲う」とでは、意味合いが全く違うことに気付いたのは、ギイに美味しくいただかれてしまったあと。
 でも、血を飲んでもいないのに、なぜか満足している自分に驚きつつ、温かなギイの腕の中で、今まで経験したことがない安心感と、ずっと包み込んでいた孤独感がなくなっているのを感じながら、ぼくは睡魔に身を任せた。
ラベル:BL
posted by りか at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月20日

ううむ(拍手のお返事)

「いらん」と言いつつ、iPad Airを触りまくっていた息子ですが、自由に触らせていたのにはわけがある。
ほら、今のスマホやタブレットって、説明書ついてないじゃないですか。
「続きはウェブで」じゃないけれど、アップルのサイトで見てくださいね~って感じで、でも、ある程度は直感的に操作はできる。
でも、細かいところは「あれ?……ま、いっか」と、放っておいた(←相変わらずの面倒くさがり)
一つを例に挙げれば、アンドロイドの「戻る」ボタンがなかったのです。
なので、いちいちホームを押して色々なことをやっていたら、裏であれもこれも起動させている状態になり、でも、ま、いっか(笑)
「戻る」ボタンがないことに気付いた息子は、「うーん」と悩みつつ、あっちこっち操作して、「ダブルクリックか!」
ダブルクリックという言葉が適当なのかは知らないんですが、ホームボタンを2回押したら、起動しているアプリがずらりと並び、
「お母さん!出しすぎ!」
と、怒られました……;
若いって、好奇心旺盛で助かるねぇ。調べるの、面倒だったんだもん。
画面が大きいから、見やすい。
カバー(別売り)が立てれるようになっているから、カウンターテーブルに置いてレシピ(クックパッド)が見れる。
便利は便利。
ただ、一つ不満が……。
このホーム画面、なんとかならんのか;
画像

私、ごたごた置いているの好きじゃないんです。
だから、タブレットの方は、ランチャーを入れてホーム画面を整理し、尚且つメニュー画面を種類別で分けているくらいなんです(日常、電子書籍、辞書、ALL)
PCのデスクトップなんて、ごみ箱と+Lhacaのアイコンのみ。
そんなランチャーあるのかなぁ。ホーム画面、時間と天気予報くらいでいいんだけど。これがリンゴなんだと言われたら、仕方ないけど。
まだまだ自分の色に染めるのは、時間がかかりそうです。


《拍手のお返事》
>章三くんは…さま(2014/06/20 02:02)
一生、振り回される運命だと思います(笑)
ギイがFグループ総帥になって、みんながひれ伏す(笑)状態になっても、「この馬鹿者」と怒れる人だと思いますし。
良くも悪くも崎ファミリーを知っているので、大樹と美波ちゃんのことは、賛成でもあるけど反対でもある、複雑な立場になるだろうと。
そこまで書くとアラフィフになるんで、予定はありませんが;
また、お暇なときにお立ち寄りください。拍手、ありがとうございました。
ラベル:日記
posted by りか at 05:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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